地ビールを護り育てる

 業界紙のネット版にこんな記事が出ていました。

●全国地ビール協議会 地ビール酒税特例措置の延長など陳情へ
 全国地ビール醸造者協議会は6月12日、第8回通常総会を開き、「プレミアムビールの先駆者から成功者を目指そう」との平成18年度事業計画を可決するとともに、地ビールに対する酒税の特例措置の期限延長と発泡酒に対する酒税軽減の創設を平成19年度税制改正要望として陳情する、ことを決めた。(醸界タイムス)

 現在、全てのお酒には酒税がかかっています。この酒税を、日本酒、地ビール、ワインの小規模メーカに対して、減免する措置がとられています。ただし、この減免措置は期限付きで、恒久の制度ではありません。記事は、その減税を延長するよう求めていこうという内容です。
 各地の地域密着のメーカーの多くは、小規模のところが多くあります。小規模であるがゆえに製造コストもかさみ、量産効果の高い大手と同じ条件ではどうしても不利になります。酒税の減免は、そうしたエーカーを保護育成するために設けられたもの。ただし、それぞれの酒類製造業団体の粘り強い運動の成果です。

 お酒というのは嗜好品でありますし、また各地の文化を背負ってるものでもあります。地域ごとメーカーごとの個性というのは、お酒の持つ大きな魅力の一つです。日本中、あるいは世界中に同じ味を広めるという傾向がある一方で、地域や文化に根ざした個性が重視されるようになってきた昨今です。個性あふれる小規模メーカーを保護するのは、時宜にかなったものだと思います。
 無論、そうしたものは市場で付加価値がつくのだから、減税は無用だという考えもあるでしょう。ただ、腹を満たせばなんでも良い、酔えればどんな酒でも良い。そんな時代がようやく終わり、さまざまなものの中から、自分自分にあったものを選べるようになって、それほど時間がたっていません。各地の多様なもの、それもある程度以上の品質のものを手に入れやすくなったのは、宅急便が始まり、インターネットなどで情報が得やすくなった最近のことです。個性的な商品を楽しめる状況を満喫できていない人は、まだまだいるはずです。そうした人たちが、より楽しみやすくなるように、地ビールを支える。そのための減税だと思います。

 全国地ビール協議会では、折に触れこうした陳情への協力を求めてもおられます。今のところホームページでは見当たりませんが、署名を求めたりされることもあるので、そうしたときには、わたしも微力ながら協力したいところです。