京滋有機農業研究会 第9回総会・記念講演会

 ちょくちょく参加しています、京滋有機農業研究会の今年の総会と、記念講演に行ってきました。今回の記念講演は、『有機農業でどこまで自給は可能か』です。
 日本の自給率は、戦後おもにアメリカからの食料輸入が増えるのにあわせ、下がり続けてきました。試算の仕方は色々有りますが、熱量換算で4割程度。世界最大の輸入国です。食糧安保論というものもあるように、いざというときに食べ物が確保できるのかという心配もありますから、自給率の向上も言われてはいます。ただ、牛肉や砂糖など、日本ではなかなか作りにくいものが、食卓に多くのぼっている今日、自給率の向上はなかなか難しいということは、農水省自身が認めてはいます。
 そんななかで、食生活をある程度変えて、日本で作りやすいものを食べるようにし、他方で有機農業に切り替えていった場合、どの程度まで自給できるのか。講師の真下俊樹さんは、その条件で日本の自給率が、どういったものか試算されました。
 とにかく適当なデータが見つからず、そのなかで少しずつパズルを組むように作業を進められたそうです。出された数字は、私の考えていたものより、やや多いものでした。あわせて、有機農業の推進のために、各種の施策が提案されました。講師の方の専門はこちらのほうだそうですね。
 ただ、数字の出し方に無理があるではという指摘が、後の質疑応答でも出ていました。講師の方は、その辺はもっともなことと同意されながら、ただ、有機農業で自給がどこまでできるのかという、議論のきっかけができたのが、一つの成果だと答えておられました。なるほど、いままで、その試算の根拠になる統計資料も、ほとんどない状態だったのですから、確かに大きな進歩なんでしょう。
 私にしても、それなりに疑問に思っていたことに、一つのヒントをもらえたようで、なかなか面白いお話でした。