本格焼酎鑑評会

yamaokasakeya2006-06-23

 毎年広島は西条の酒類総合研究所(元 醸造試験場)でひられている、本格焼酎鑑評会にいってきました。鑑評会というと、日本酒の新酒を対称にしたものが非常に有名で、毎年多くのお酒と人が参加しています。しかし、焼酎のほうは、ずっとこじんまりしていて出品酒も参加者も少なめ。参加してる人も酒類関連のお役人と、メーカーの方がほとんどです。知る人ぞ知るという催しです。新酒鑑評会も昔はこんなふうだったそうですけど。
 私が参加するのは三度目。焼酎ブームが本格化しだした3年前と過熱してる言われた2年前にも参加してます。まだ、焼酎の味見が少しだけできるようになったばかりのころです。

 さて、2年ぶりに参加することにした今年。前夜の気分は今ひとつでした。鼻の調子はいいのですが、足の小指を怪我しました。翌日立ちっぱなしなのに。主催者のホームページで出品酒を確認したのですが、定番品が多く野心的な品が目立ちません。変わった原料のものとか、長期熟成のも出品が減ってるんですね。それでも、うちで売ってる品を比較できる機会でもあるしと気を取り直したり。
 そんなこんなで一寸後ろ向きな気分のまま、大阪発の夜行バスで出発。早朝、広島に到着して鉄道で西条へ。そこからは、地元の路線バスです。節約節約。しかし、地元高校生の登校混雑に呑まれ、下りられないまま一駅乗り過ごしです。あーしんど。でも、着きました。

 酒類総合研究所です。タイトル横の写真とは別の入り口です。入り口横の石は、黒御影の継ぎ目なし。高価…。

会場へは毎度の一番乗りです。バスは少なめだし、駅前以外でタクシーが見つからないので、迷ったときの用心で早めの行動をしてます。受付にも人がいません。

まあ、物珍しさでうろついていれば、時間もすぐです。

 きき酒の会場の中はこういう具合です。

大会議室なる大部屋に、三列に米、そば、麦、泡盛酒粕、その他、と原料別に、しかも、それぞれで手前に軽い香味の減圧蒸留を、次に香味のしっかりした常圧蒸留を、最後に長期熟成ものと、似た傾向のもの同士で微妙な比較がしやすいように並べてあります。さすが研究機関と思える配置です。こういうふうに試飲できるのは、知る限りここだけ。焼酎に疎い私には、非常に勉強になるんです。
 上の写真の左の列の手前に、見慣れない地味なビンが3本並んでますが、これは優秀品。米麦芋で、2,3種類ずつ選ばれます。この時点では未発表で銘柄は分かりません。年によっては、利き当てでどの商品か分かるんですが、今年は分からずじまいでした。


 きき酒のすすめ方ですが、通常四合ビンを真ん中に、両側にグラスが置かれ、その中のスポイトで焼酎を無臭プラコップに取り香りと味を見ます。そしてメモ。これを延々繰り返します。
 近年は焼酎ブームで出品が増えてます。今回の場合、2時間半の制限時間で、出品酒335と、優秀酒8、それに印象的だったものを再度ということで、延べ350ほどを味見します。時間との戦いです。焼酎は、清酒やビールよりもチェックする点が少ないので、きき酒も早くすすめられるんですが、それにしても過酷です。そういえば、地元マスコミの人も数組来ておられましたが、私の動作は速すぎて被写体に向かなかったでしょうね。あと地元の無料紙の人から取材されました。時間があれば、逆取材するところだったんですが。残念です。


 人が多くなってくるとこんな具合です。会場が狭いうえに、参加者も多く身動きが取りづらいほど。人も酒瓶もギチギチです。写真ではいろんな人が写ってますが、背広の上着を着てるのはメーカーさん。白衣かサンダル履きの人は研究所の研究員の人。開襟シャツや簡単なネクタイ付は行政関係。楽な格好の方は、多分酒屋か飲み屋の人です。
 初めて参加した3年前は、焼酎ブームも本格化し始めたころで、他の参加者の方々は行政とメーカーの方ばかり。皆さんスーツか白衣の人だけで、動きやすい普段着リックサックを背負ってるのは、私一人だけでした。変われば変わるものです。

 ところで、会場は二つに分かれてまして、特に香りに特徴のある芋だけは別室です。

ここは分析室なんだそうですが、狭い狭い。芋は人気商品ですから味見の人も多く、ひときわ混雑してます。今回の芋の部門は、出品数が多いものの長期熟成ものが出ていませんでした。市場の縮図ですね。

 帰り道、バス停で居合わせた人と話してますと、みなさん行政関係の方。「交通費が十分でないんですよ」とぼやきながら、土地勘があるので路線バスを利用してるんですね。もう一方、島根のお酒屋さんがおられました。10年大昔になった、酒屋業界の変貌に驚きつつ、ワインを中心に商っておられるそうです。頑張っておられる同業者があるのは、励みになります。


 こうして、なんとか無事試飲を済ませました。全体の感想ですが、やはり出品酒が手堅くなっていました。個性を通り越して無茶とおもえるような品はほぼありませんでした。手堅く売ろうという方向に行ってるんでしょう。そういう意味では、驚くような発見が少ない一方で、当店の取り扱い商品と主力メーカーが手堅く出してきたものとを比較できる、いい機会であったと思います。
 また、新たに焼酎作りに参入した本州の清酒メーカーさんの焼酎に、個性的でかつ高品質なものが増えていて、驚かされたものもありました。同じく、九州以外のメーカーさんの芋焼酎も、ずいぶんとできのいいのが見かけられました。嬉しいことです。ただ、こうした商品は、本場のものに比べると高値の物が多いのが困ったところです。


追記
かかった費用 〜もとは取れません〜
交通費
市バス(四条大宮まで)    220円
阪急 (梅田まで)      390円
夜行バス(広島まで)     5700円
JR(西条まで)       570円
路線バス(会場付近まで)   280円
路線バス(西条駅まで)    250円
JR(三宮まで)       4620円
阪急(大宮まで・株主優待券) 395円
市バス(自宅近くまで)    220円

食費 
あまりに倹しいので割愛