鯖寿司

yamaokasakeya2008-04-10


 京都でおなじみの鯖寿司です。別に鯖の代わりに秋刀魚を使ったりしていませんよ。
 鯖を酢で〆て酢飯に載せるという、一見単純な作り方ですが、なかなかどうして、奥の深い料理です。とくに鯖寿司の難しいところは、酢の加減です。やたらと酸っぱいばかりになったり、逆に生臭くなったり。
 母は、現在鯖を〆るのに、三種類の酢を混ぜて使っています。一つは純米酢として売られているもの。よく見かける穀物酢。もうひとつ、梅果汁を使った健康食品の梅果紫蘇です。

 通常の穀物酢だけでは、酸味が強すぎます。まろやかにしようと、砂糖をたくさん使うと、後口がくどくなってしまいます。
 ではといって、古い製法の純米酢、京都では丹後の富士酢などがまろやかで良いものの、こうしたお酢には、蒸れ香(むれが)と言われる特有の香りがあります。ワインビネガーにもよくみられる香りなんですが、魚に使うと、腐ってると誤解する人が実に多くおられます。わたしも、勘違いしかけたことがありましたが、よく似ています。そういった点で誰にでも出せるものでなく、不向きです。
 ちなみに、同じく京都の千鳥酢は、米と酒粕を使っていて、この両方の長所を引き出して短所を目立たせなくしたような酢だと思います。

 さて、最後の梅果紫蘇は、うちで以前売っていた健康食品で、梅果汁と紫蘇のエキス、蜂蜜を主な材料にしています。ものはいいと思うのですが、とにかくこうした健康食品を売るのが苦手なもので、少なからぬ商品が賞味期限が過ぎまして、自家用に使っている次第です。
 ただ、思いがけず梅の果汁のクエン酸からくる酸味が、他の酢の酸味をまろやかにしてくれるようで、非常にまろやかな仕上がりになっていて、いくらでも食べられます。酢以外の酸味を使うあたり、少々邪道かもしれませんが美味しいですよ。
 ちなみに、酢飯はほぼ梅果紫蘇だけを使っています。

 鯖寿司に挑戦中のかたがたに、なんらかのヒントになるでしょうか。