上賀茂 森田さんの山科ナス 80円也

 今日は当店の日本酒の試飲会でした。百楽門、花美蔵、尾瀬の雪どけ、湖の誉。結構色々出して、長引きましたが楽しかったですね。
 そんな今日のネタは、昼ごはんに食べた山科ナスです。きざみ昆布と一緒に干シイタケのだしで炊いたもの。母は前日に作ったものを、味がしみこんだ今日にゆっくり食べようと目論んでいたようですが、美味しかったので、できたその日にかなり食べてしまい、今日の昼ごはんにはなくなってしまいました。
 皮が薄く、実がしっかりした山科ナスですから、普通にある千両ナスに比べて、炊き込んであっても実が崩れず、もっちりした歯応えです。そのためか食べ応えがあります。同じ料理でもナスの種類が変わるとかなり印象が変わります。

 この山科ナス、京都の東の山科で生まれた品種です。皮が薄くて実がしっかりしてるのは、近縁の水ナスと同じです。水ナスは大阪南部のもので、場所が近いですからお互い影響があったのでしょう。形は水ナスに比べると丸みがあり、ツヤが少ない印象です。色は濃い目の紫なのですが、千両ナスに比べてやや薄いため、糠漬けにすると色が悪くなりやすいですが、味のほうはうまくできます。見た目を気にしなければ実に良い漬物が出来あがります。また、実がしっかりしてるので、焼きナスも上手く出来ます。実に良いおナスです。
 しかし、この出来の良い地元品種も、最近まであんまり人気がありませんでした。知名度がないせいもありますが、それだけではありません。取れる数が少ないのです。千両なすの半分くらいだそうです。手間は同じくらいで、取れる量が半分ですから、当然値段は高くなります。こうなると、敬遠されるのも無理ありません。
 値段はちゃんと根拠があって高いのですから、説明したら売れるはずですが、なかなかうまくいってないようです。難しいもんです。