湖の誉 純米 四合ビン(自家熟成5年) 非売品

 売り物に手をつける、のタイトルに反してはいますが、元は売り物だったのでご勘弁を。湖の誉の四合ビンは一本千円で売ってますので。
 日本酒も色々なものがありますが、一部で、多分ほんとにごく一部で楽しまれてるのが自家熟成です。買ってきたお酒を何年も保管しておいて、熟成が進んだところで飲むものです。ワインや泡盛では似たようなことが行われてますが、日本酒でもあるんです。日本酒は新鮮なほうが美味しい、出荷してすぐが最高、そう信じておられる方が多いですが、それもお酒によりけり、好みによりけりなのです。
 日本酒の古酒は、あるものは紹興酒に似て、またあるものは他に比べるものもない独特の風味を持っています。あまり一般的でないので、飲みなれない方が多いですが、慣れてくるとその心地よい酔い方で、病み付きになります。
 私が日本酒の古酒、長期熟成酒とも言うんですが、これを初めて飲んだのは7年くらい前です。そのやさしい口当たりが気に入りまして、それ以後何度か古酒を飲んだのですが、昂じて自分でも作ってみようと思い立ちました。
 やり方はいたって簡単で、市販のお酒を新聞にくるみ、温度変化が緩やかな場所においておきます。ある種のお酒は冷蔵しなくてはいけませんが、ほとんどのお酒はその必要はありません。ただ、紫外線を避けることと、めまぐるしい温度変化は避けること、あとは40度を越す極端な高温にならないようにすることくらいです。
 今から5年ほど前、かなり色々なお酒を古酒にしようと試しました。その中に湖の誉もありました。10本近くを熟成させました。これを選んだのには色々事情はあるんですが、多めに熟成させて、その変化を確かめる必要があったからです。 
 今までに何本か飲んでみて、出来具合を確かめました。2年ほど前には、ほぼ古酒になっていました。古酒の変化は3年めくらいと、5年くらいで、特徴的な変化が起こります。5年目の変化が実際に起こってるか、今年は確かめる時期でもありました。

 24日は家の店でやってる日本酒の試飲会の日。参加者の中で、新潟の山古志というお酒を持ってきてくれた方がありました。地震で甚大な被害を受けた山古志村のお米で作られたお酒です。今年以降、そのお米が作られるか分らない、貴重なお酒です。その返礼の意味で、自家熟成酒を開けました。残り2本のうちの1本です。
 気温は30度をやや下回ってました。かすかに黄ばんだ古酒の色合いです。香りは控えめ。そしてほんのりとやさしい口当たり。ぬる燗も上々でしたが、気温そのままのほうが良いようです。後で冷酒も試しましたが、やはり気温くらいのほうがいいですね。
 5年待ったかいがありました。年月の賜物です。会に参加されていた方々は、古酒には抵抗の少ない方たちでしたので、やはり好評でした。
 もう一度、作ってみたくなりました。場所とお金が要りますが、なんとかしたいです。それと、もう数本、別のお酒が残っています。こちらはどうなってるのやら。前回確認したときは順調でしたので、多分大丈夫でしょう。

 なお、最後に残った一本は、このとき参加されていた方のお一人が後日買われることになりました。価格は1500円。個人的には相当お買い得だと思います。