花美蔵 新酒一号 純米吟醸生原酒 四合ビン 1260円也

 秋めいてまいりまして、朝夕は涼しいのを通り越すほどです。
 ほんの少し前まで、深夜まで暑かったのに。その暑さのせいで、うちのパソコンは少し働かせるとすぐに熱暴走を起こして止まっていました。
 機械とは言え、この暑いのに仕事してられるかと投げ出すのですから、考えようによってはずいぶん人間的です。逆に人間のほうは、今年の夏から薄着が勧められてますが、まだまだ炎天下で厚着して働いてる方が多いです。これではどっちが機械で、どっちが人間か分りません。ちなみに私は、暑いとそれなりに手抜きをします。暑い中でそんなに頑張れません。うちのパソコンは飼い主に似たんですね。

 さて、せっかく秋めいてきたんですから、やはり日本酒です。真夏には体がほてってしまうので日本酒をあまり飲みませんでしたが、今夜は飲みました。とはいえ冷酒です。花美蔵の新酒一号。去年の晩秋に出てきた新酒です。多分最後の一本です。先日飲みかけのまま、三合ほど残っていたものです。
 こうした新酒はできたての新鮮さ、若々しさをうりにしてますが、これがなかなか曲者。たいてい出来立てのお酒は、どうにも口当たりがよくありません。とげとげしくて、渋い。口当たりが柔らかくないから、「硬い」ということもあります。そのため、ある程度の時間をおいて、口当たりが柔らかくなってから出荷するものです。これは生酒でも、火入れしたお酒でも変わりません。
 しかし、新酒の場合は、新米のようになるべく早く出荷することが求められます。当然、なるべく美味しいもの、出来立てでも口当たりの良いものが出荷されます。しかし、出来立てで美味しいお酒は、早い段階で味が悪くなりやすいのです。ダレるといいます。こういうのは、売る側としては実に厄介です。味に構わず売ることもあるんでしょうが、できればより美味しいものを売りたいですから。

 そのてん、この新酒一号は割りと楽でした。若々しいときは、それなりの美味しさが長所としてよく出てました。かすかな炭酸の刺激が、欠点を隠してくれたのでしょう。
 また、一年近く寝かせていても、ダレた印象は強くありません。美味しく飲めます。たぶん、もともとは、ゆっくり熟成するタイプなんでしょう。生酒の若い香りこそおとなしくなっていましたが、そこは純米吟醸の生酒。香りも強過ぎない程度に楽しめますし、やや酸味のしっかりした味わいで、実に美味しく飲みました。
 ちなみに肴は、妹の北海道旅行土産のホッケ。ご飯のおかずにしながら食べました。さすがに好きなものをよく分ってくれてます。