蔵元こわだりのうまいもん館「余花朗」

 うちの店のお酒の会にもよくお越しになるお得意さんから、酒蔵見学して琵琶湖を眺めながら美味しいお酒を飲みながらうなぎを食べませんか。というとてつもなく魅力的なお誘いを、かねてから受けてたんですが、都合がつかずに延び延びになってました。あいにくと酒蔵見学はかないませんでしたが、琵琶湖を眺めながら美味しいお酒とうなぎを満喫してきました。
 滋賀県堅田。浮御堂のすぐ近くに、浪の音という酒蔵があります。琵琶湖に2番目に近い酒蔵です。ここの蔵元のお住まいを利用して、「余花朗」という料理屋さんを6月から9月に営業しておられます。ここが目的地。ちなみに蔵元こだわり云々というのは、頂いたカタログに書いてある文句です。
 昼に間に合うよう余裕を持って出かけ、寄り道しながら駅からぶらぶら歩きました。今も名残をとどめる堅田の古い町並みは実に立派なものです。古くから琵琶湖は京や瀬戸内と北陸や東国をつなぐ水上交通の要衝でした。その水上交通を抑えていたのが堅田湖族だったそうです。さぞや栄えていたことでしょう。
 蔵の向かいの余花朗について通してもらったお部屋は、生垣越しに琵琶湖が見えて実にすばらしく、欄間には琵琶湖八景を描いたらしいも飾ってあったりと、見るものみな面白い。
 色々と目移りしながら、それでもお酒好きの男二人です。とにかくお酒のこと、お料理のことに興味が向かいます。
 最初は大吟醸(小川酵母)を一杯。次に、雄町、山田錦、愛山という3種の酒米でそれぞれ仕込んだ純米大吟醸3杯の利き酒セットをいただきながら、秋刀魚のお造りと胡麻豆腐。途中で純米酒で仕込んだ梅酒に冷やしたのと、3年古酒の純米酒をお燗と冷やでいただきまして、うなぎといっしょに雄町米でつくった純米吟醸。最後にデザートをいただきました。
 もともとこの蔵は、吟醸酒が美味しいところ。出てきたお酒は、いずれも美味しくいただきました。商品を探しに利き酒に行ったのでなく、お酒をたのしみにいってますから、余慶にです。もちろん、どう飲むのが良いかとか、この酒米ならどんなお酒のほうがいいかといたことを、ああだこうだとやりながらですが。こういう気楽さはずいぶん久しぶりかもしれません。予定よりも長居することになりました。ご馳走様です。

 さて、この後、私は先に京都に戻って、シベリア抑留の体験談を聞かせてくださる催しにいく予定でしたが、ずいぶんと遅刻。こういう話が出来る方は、もうほとんど残っておられないので、機会もすくないですから、惜しいことをしました。またの機会ということでしょう。