KPOビールセミナー

 30年ちょっと生きてますが、わりと近くでも初めての場所はあります。この日は、初めてなんばの道頓堀界隈に行きました。法善寺横丁、千日前、戎橋、心斎橋などなど。こんなところに行ったのは、戎橋のたもとにある、キリンビールのキリンプラザ大阪のビールセミナーに参加したからです。一般の方を対象に土曜日に開かれており、抽選で参加できます。なかなか抽選があたらなかったり、予定が合わなかったりで、ようやく初参加です。
 こういう取り組みは、ビールの宣伝活動の一環ではありますが、手間のかかる割りに売り上げにそれほど結びつくものでもありません。こういうのに来る人は、もともとビール好きの人ですからね。目先の売り上げを追うのなら、スーパーの店頭で試飲コーナーを作って、マネキンのお姉さんに声を張り上げてもらうほうがよほど確実です。それでも取り組むところは、長く業界一位であった企業の自負を感じます。こういうところは、大手の偉いところです。
 さて、5つあるセミナーの中で、今回受講したのは『世界のビール』。非常に趣味的です。内容は、エジプト王朝に始まるビールの歴史をたどりながら、さまざまなビールを順に、17種類も味見していくもの。
 さすがにエジプト王朝時代のものは、現在作られていませんので、味見の最初は、現存最古の様式を持つベルギービール5種類。これでもかという個性は揃いで、ほとんどはビールというよりも、特殊なフルーツワインです。私は大いに楽しんだんですが、5つ目の木苺のフルーツランビックが、女性に好評なほかは、ビール好きの参加者の方の口にはあまり合わない様子。残しても勿体無いので、存分に頂戴しました。
 次は、ドイツやイギリスを中心にした、上面発酵のビール4種類です。ケルシュ、ヴァイス、エール、アルト。この辺から、ビール好きの方々の奥地にも合うものが出てきます。
 そして、現在の多数派である、ピルスナーです。ピルスナーの元祖である、チェコピルスナーウルケル以下、キリンラガー、バドワイザー青島ビールです。アサヒビールの取り扱いであるにもかかわらず、アジアの代表的なビールとして青島ビールを出してこられるあたり、好感が持てます。
 最後は、同じ建物の中で少量生産されているビールを4種類です。ピルスナー、ヴァイス、エール、スタウト。
 さて、この出し方ですが、最後の4種類を別にして、実は私がうちの店の試飲会で出すのと、全く逆なんです。わたしは、歴史の浅いものから順に出していきます。この辺は、目的の違いですね。
 ここでは、個性的でいきなりは飲みづらいビールを先に出して、徐々に今のなじみの味に近づけていくという方法です。当然、そこには、今のキリンの主力ビールが良いビールであり、それを飲んで欲しいという考えがあります。
 私のほうは、なじみの味から、少しずつ個性的なものに向かっていって、無理なく個性的なビールを楽しんでもらうようにしています。これは、個性的なビールも楽しんで欲しいという考えだからです。
 普段飲む機会のないベルギービールを飲めたのも収穫ですが、一番の収穫は、出すビールの出し方に、キリンの姿勢が伺えたことだと思ってます。