京滋有機農研例会

 京都と滋賀県有機農業を実践する農家や消費者が集まってつくられた、京滋有機農研の冬の例会です。なぜか酒屋のわたしも、お手伝いもしてます。
 今回は、初代会長の桜井さんの農業の様子を収めたビデオの上映と桜井さんのお話を聴くというもの。桜井さんの農場は、昨秋別の団体の企画で見学に行ってますが、もうすこし違った形で掘り下げた説明がきけました。
 桜井さんの農場は、有畜複合経営といいまして、鶏と米と野菜をうまく組み合わせたもの。野菜くずや稲作で出てくるくず米やわらを使って鶏を飼育し、鶏の糞を畑の肥料にする有機物の循環をうまく作り出しているものです。
 40年以上前には、滋賀県栗東にある桜井さんの地区は京都中央市場で最大のシェアを誇った大根の産地だったそうですが、競馬の施設やゴルフ場、名神の開通に伴う都市化などで、人手の確保も難しくなり、さらに連作障害で農地が劣化、病気が蔓延して農薬を大量に使用し、桜井さんの体にも影響が出るほどになり、30年ほど前からは農薬や化学肥料に頼らない農業に切り替えて行ったそうです。使い捨て時代を考える会というグループとの協力関係で進んできて、いまでは農薬や化学肥料を全く使わない農業だそうです。
 ここまでくるまでに歩んできた、桜井さんの原体験になる、若いころのお話も印象的でした。海軍の志願兵として過ごしたラバウルでの飢餓と自給、復員後に故郷の信州で過ごした後、開拓の募集に応じて村の仲間と今の土地で就農したことなどなど。話題は尽きず、会の新年会を兼ねた懇親会の席まで続きました。
 なお、京滋有機農業研究会の次の催しは、3月11日1時半からの第9回総会と、総会後開かれる、記念講演会「有機農業で自給はどこまで可能か」です。興味のあるかたは、覗いてみてください。