都鶴 純米吟醸 新ばしり 四合ビン 1360円也

 伏見の蔵で、最近お買い得のお酒を造り、精力的な営業をしておられる都鶴さん。その営業の方がやや久しぶりに来られました。わたしが不在のときに来られたこともあったそうですが、最近は造りをやっておられたとか。
 その体験談を交えながら、取り出されたサンプルの瓶が二本。糖類無添加にごり酒純米吟醸新ばしりです。
 飄々とした語り口から聞かされるお話は、笑ったり感心したり、そのなかで「今年は色々とやって、出来がよかった」とおっしゃる新ばしりを仕入れることにしました。サンプルも味見しました。
 香りは上々。生酒特有のいい香りです。ここの蔵は、香りの高い酵母を使っておられますが、それと合わさって、冷たくても香りがはっきり分かります。ところで、いい生酒は香りがなかなかへたりません。聞けば、ためしにストーブの前に一時間ほど置いても大丈夫だったそうで、相当なもののようです。
 味のほうですが、香りからはこってりした印象かもしれないと思っていたのですが、辛口のさっぱりした印象です。ちょっと酸が強いかなというところ。この酸味が味全体を引き締めてるんですね。
 そして、飲み込んでみると、じわーっと来る酸の余韻が長く豊かに残ります。これは面白い。生酒といえば、飲み込んだあとに、渋のようなものを感じることがあります。新鮮な生酒には多かれ少なかれあるものですが、これには、それがありません。いや、ないというよりも気にならないというところでしょうか。
 飲んだ後の印象が甘くないので、生酒のなかではかなり料理との相性がいいと思います。ほかの生酒が全体に辛口でないので、これで品揃えの幅が広がりました。都鶴さんに感謝。