伏見新酒きき酒会

 例年、伏見酒造組合会館で行われている、新酒きき酒会に行ってきました。無料で参加できますが、入れるのは事前に申し込んである人のみ。ひどくごった返すという心配がない会です。場所は、伏見大手筋を西へ出て、しばらく歩いた竹田街道の交差点、月桂冠の工場の敷地に隣接した建物です。気持ちの良い天気だったので、行きは自転車です。
 伏見の蔵は、現在約20。それぞれの蔵から、今年の新酒と市販酒が一つずつ並びます。並んでいるのは40ほどですから、さほど多いほうではありません。時間に余裕があるので、一通り味見をしてみて、もう一度気になったところを見て回りました。
 ただ、このところどうも花粉症の症状が出ていたもので、この日も鼻が詰まって匂いがわからなくなることがしばしば。しばらく待てば良くなるので、休みながらゆっくりやりました。こういうところはありがたいです。
 ここ数年の傾向ですが、新酒は蔵の特徴が際立つようになってきました。市販酒も、ひところに比べると、最高値の品以外のものも少しずつ出てくるようになりました。この試飲会が、新酒のお披露目するしようとする会らしいので、こういう形なのでしょうけれど、市販酒をもうひとつか二つ、増やしてほしいものです。
 それと、ここ何年かであちこちの試飲会に出て思うのですが。全蔵が参加し、得手不得手は関係なしに新酒がだされるので、その蔵の得意とする酒がわかりにくいです。そのため、際立っていい酒が少なく、凡庸な酒が多く並んでいるという印象を受けてしまいます。吟醸大吟醸に限らず、得意の純米酒や古酒、にごり酒、燗酒などを持ってきても良いと思います。
 また、伏見という狭い領域からお酒が集まってるので、仕方がないかもしれないのですが、どうしても似た傾向の酒が多い印象です。少なくとも水が似ていて、気候が同じ。出荷先も重なっているので、お客の嗜好も似ていて、その分お勧めの酒も似てくるのでしょう。
 昨年、一昨年に参加した、新潟の酒蔵がほぼ全蔵集まる、「新潟酒の陣」では、広い県ということもあって、山、海、野、島、町のお酒がそれぞれ際立った特徴を、地域ごとに見せてくれました。ここまでというと、無理というものですが、もう少し、蔵ごとの個性を発揮できるような形にしてほしいものです。
 なにやら不満めいてしまいましたが、こうした試飲会は、良い質のお酒に触れられる、非常にいい機会です。こういう機会を設けてくださる、伏見酒造組合の皆さんには、心から感謝いたします。来年、より良くなることを願います。

 帰り道、同行した友人が地元伏見の人で、彼の案内で近くを見て回りました。その途中、「造船所」を見つけました。実は、造船所を見るのは初めてです。外から覗いただけですが、敷地の中に材木が積まれ、材木商と大工さんの現場のようでした。なるほど、勉強になります。