日吉町胡麻 中村新さんの畑など

yamaokasakeya2007-05-13

 だんだんと暑くなってきた日曜日、この夏から野菜を分けていただく中村新さんの畑の見学に行ってきました。中村さんは脱サラ後、し自然農業大学校で技術を身につけた後、先ごろ日吉の胡麻で新規就農されました。現在、夏の出荷開始に向けて、研修の方二人とともに鋭意作業中です。中村さんが実践されようというのは、自然農法といわれるもので、大雑把に説明すると、有機農業の一流派で、有機肥料や自然農薬の使用も控えながら、自然の生態系の仕組みを取り入れていこうという姿勢がより強い方法です。

 まず最初に伺ったのは、胡麻駅から車で少しの後野(この)の畑。冒頭の写真です。人の背丈よりも育ったライ麦が迎えてくれます。
 長く化学肥料に頼った慣行農法を続けた畑は、土の中の有機物が不足しています。そこで土の有機物を補う必要があるのですが、外から運び込むばかりでなく、その畑で有機物を育ててしまおうということで、ライ麦やクリムゾンクローバーが植えられていました。
 ライ麦はちょうど花が咲いているときで、畑から煙が立ちのぼるように花粉が湧き出していました。珍しいものがみられました。

 最初に見せていただいたのは、苗を育てるためのミニハウス。実は効率よく太陽熱を取り込んでくれるハイテクハウスで、地温まで上げてくれます。よく考えてあるものです。植え付けを待っているトマトや唐辛子の苗がありました。種から育てたものです。ほとんどの場合、苗は購入されるのですが、有機栽培の苗作りはほとんど行われていません。苗が病虫害を持ち込んではいけないとの判断からです。
 また、畑のある土地と苗が育てられるところは、気候が違うことも多く、馴染むまでに苗が弱ることもあります。
 そうしたことから、苗は自前のほうがいいのです。ただ、どうしても手間がかかるので、なかなかできることではありません。

 次は堆肥小屋。中村さんの目指す自然農法は、堆肥の使用量が少ないのですが、作物によっては必要になります。
 用途に応じて使い分けられるよう、4種類の堆肥を作っておられます。アレルギーのかたの中には、同じ有機肥料でも、動物由来のものを原料にしているものを使って育った野菜を食べると、たとえ無農薬無化学肥料であっても発症されるというかたもあるそうで、そうした場合にも対応できるそうです。なんとも大変な話です。

 こちらは、トマトや枝豆などが植えられている畑。赤く点々と見えるのが、クリムゾンクローバーの花。ライ麦も植えられていて、その隙間隙間に枝豆やトマトが植えられています。もともと生えていた草もある程度残しながらの栽培です。少し間違えば作物が草に埋もれてしまいますが、上手くいけば非常に濃厚な味わいを持つ野菜が、少ない水や肥料で育ちます。いまのところはかなり順調です。


 さて、写真はここまで。カメラの電池がなく、携帯でとっていたのですが、それもデータホルダーが満杯になりましたから。

 続いて大戸(おおと)の畑。私がかねてからお世話になっている[http://www.pen.co.jp/syoseki/syoku/0366.html#Anchor649101:title:title=西村和雄]さんのご自宅前の畑です。実は大戸の畑も後野の畑も西村さんの所有です。
 こちらでは、丹波黒大豆の用意が進んでいました。黒大豆を連作する予定だそうです。通常、マメ科の作物は連作に向きません。黒大豆は連作に特に不向きで、連作すると大抵収量も品質も低下します。人気の割りに生産が伸び悩んでいたり、他府県に生産の場が広がっているのも、そうした事情からですが、それが自然農法のノウハウで克服できるという見込みです。多分上手くいくと思います。正直数年後が楽しみです。

 その後、さらにご自宅前の苗畑を見せていただき、様々な打ち合わせのあとに、今度は丹波を横断して、京北町の黒田で新規就農して3年になる松平さんの畑へ中村さん、私、研修のお二人で移動します。四人とも訪ねるのは初めて。
 山道を一時間近く。かなりの山奥です。着いたときには、松平さんは、応援の方お二人と農作業中でした。訪ねた畑は、桂川の源流近くで、川と山に囲まれた一帯のため、獣の被害が一通りあるそうです。鹿、猪、熊・・・・。外来動物ではアライグマやヌートリアも。
 高齢化が進む中で放棄され、樹も進入して山に還りかけていた畑を、草が結構生えている程度にまでしたのだから、たいしたものです。
 今は畑に植えられているものがほとんどない時期でしたが、それでも松平さんが全国各地から集めて、黒田にあうか試しに育ててみたという、様々な種類の漬け菜や大根が種をつけていました。
 ところで、大根や菜の花の種の入った鞘は、青いうちは生で食べられます。特に大根はぴりりとしてなかなかの珍味。話には聞いていましたが、食べたのは初めてでした。

 一日盛りだくさんで非常に充実していました。ただ、帰り道は疲れからか眠くなるし、翌日は原因不明の筋肉痛でした。松平さんの畑で草引きを手伝ったせいでしょうか。運動不足はいけませんね。