大手の目指すべきビールとは

 最近、キリンがチョコレート風味のビールを出すとか、アサヒが生姜のビールを出すといった報道がなされています。大手ビール各社が、ビール離れを懸念し、なんとかしようという取り組みの一つなんでしょう。
 ただ、これは上手く行かないだろうと思うのです。
 もともと、チョコレート風味のビールにしても、生姜ビールにしても、地ビールメーカーが先駆者です。チョコレートビールで言えば、サンクトガーレンのインペリアルチョコレートスタウトやベアレンのチョコレートスタウトのように、かなりの人気商品になっているものもあります。
 実は、似たようなスタイルのビールは、キリンスタウトやアサヒスタウトのように、今までも作られてきました。しかし、キリンスタウト近々廃盤になるように「大手にとっては」売れ行き不振な商品なのです。
 「大手」が求める数字というのは、地ビール各社とは桁が3つも4つも違います。地ビール市場占有率は、250社以上をあわせても1%に届きません。地ビール何社かにとっての大ヒット商品でも、大手にとってはタンク一つにも足らないことも当たり前にあることです。
 名前を変えれば売れ行きが伸びることはありますが、それでも長く久しく好事家の間でのみ知られていた商品です。おそらく売れ行きは物足りないままに終わると思います。


 では、どういうものを大手が作っていくと良いのか、ちょっと考えてみました。ここから先は、遊び半分で読んでください。
 まず、ともかく大手のビールは数が売れないといけません。ということは、二杯三杯と飲めない重いものはダメなのです。こってりした黒ビールなんて論外です。こういう、たくさん飲めるビールというと、味がうすいか度数が低いかです。味のうすいのは既にたくさんできていますが、それでビール離れというのだから、ここは違う方向で、度数の低いものを狙いましょう。今の若い人は、酩酊したくないほろ酔いが良いという人が多いので、ちょうど良いはずです。

 度数が低い上に味が薄いとなると、さすがにただの炭酸水になりますから、ビールの味はしっかり引き出します。ただし、苦いのは嫌だという反応がありますから、ホップをあまり利かせず、麦芽の風味を利かせたものにします。ちょっと色の濃いのが良いでしょうね。味があっても、ある程度のキレのよさがあれば、重たさは感じにくいはずです。となるとオールモルトなんて良いと思います。そうなると、お代わりしやすいはずです。今までよりも酔わないから、飲む量も増えますよ。
 と、ここまで書いてきて思ったんですが、これってキリンのハートランドやアサヒのプライムタイムみたいなビールなんですよ。それをいくらか度数を落としてライトにしてみたわけです。
 なんだか変な結論になってしまいました。さて、こんなことで大手のビールが売れていくんでしょうか? 
 ただ、今のままならジリ貧です。もちろん、地ビールの市場に割って入ったって、足しにもなりません。それは確かです。売れ行きの限られる商品開発よりも、主力になりうる商品の開発に注力すべきでは無いでしょうか。